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優雅な観察者と挑戦者

前田 正憲

24 年 11 月 16 日 - 24 年 12 月 7 日

Curation Note

このたび Alpha Contemporary  は、『優雅な観察者と挑戦者:ハ・ミョング(河 明求)、前田 正憲』を 2024 年 11 月 16 日 より 12 月 7 日まで実施する。

 

本展は、観察者と挑戦者としてのアーティストの視点にフォーカスを当てた展示である。

 

アーティストは、鋭い視点を持って自身の置かれた社会を観察する観察者とも言える。また、既存のシステムやフレームから絶えず自由になるのを試みる挑戦者とも言える。

彼らは、日常的もしくは社会的習慣と観念を違う角度で観察し、再解釈し、既存の概念に拘らず、新しい挑戦を試みる。社会、政治、経済、文化的な脈略の多様な思想と対面し、それらに内在された感覚を視覚化する観察者であり、挑戦的な問題意識を持って、新しい表現を切り開く挑戦者である。

ハ・ミョング(Korean b.1983)は、京都市立芸術大学校美術研究科で修士課程在学中に交換留学プログラムとして修学したロイヤル アカデミー オブ アーツ(イギリス、ロンドン)時代から制作されたポケットスクエアのシリーズを展示する。

 

ポケット スクエアのシリーズは、外国人から見たイギリス社会の歪みと憧れを混在させ、機能性を排した陶器である。

 

紳士の国イギリスでは、スーツにさまざまな約束事があり、形式にこだわっている。ところが背広のポケットに刺すハンカチーフだけは自由なスタイルで楽しめるのが、ハにとってとても印象的だったという。そこからポケット スクエアシリーズを手掛ける。これは、工芸的な完璧さに対するハの前衛的な試みである。今まで通りに製作された器の形に自由に崩し、針で表面に無数の穴を開けて、ボロ雑巾のように制作したのが、ポケットスクエアである。

 

その後、ハは、韓国の呪術的な信仰の一つであり、昔から韓国の民衆に伝来され、その時代の生き方や感性を内在している「トッケビ」シリーズを手掛ける。近年においては、日本の古代の社会性を内在した器であった「埴輪」シリーズを手掛けている。

 

ハが社会の観察者として特定地域や時代の土地の記憶を作品に手掛ける原点となった「ポケット スクエアシリーズ」を通して、「優雅な観察者」として社会への新しい視点を開いてくれるアーティストの一面と出会っていただきたい。

前田 正憲(Japanese b. 1964)は、日本画の技法で抽象画を描く。

 

日本画の画材である和紙や岩絵具を用いて日本独自の絵画様式を駆使しながら、西洋美術の文脈の中での絵画としての作品を手掛ける。

 

前田は、日本画表現を超えた絵画表現としての独自なストロークを具現し、和紙を支持体として光を乱反射する岩絵具のキラキラとした質感を持った色面を繰り広げる。

 

色面は、一つ一つ絵具を何層も塗り重ね埋められ、一つ一つが独自に存在する。ただし、その色面と色面の緊張感ある関係に入り込むもう一つの色面により、両者の対立を忘れ去らせ、両者の対立、区別から離れさせる。生と死、苦楽など、相対的な対立を忘れ去り、二元的な考えから脱し、静寂また無になること。この無になる境目に新しい視点を与える。

 

また、長谷川等伯の松林図屏風の抽象性、自然筆を使用して描く線の感情、緊張感を基に、日本絵画の描く行為と描かない行為を具現化したミニマリズムな作品などを手掛ける。

日本の伝統的な画材や東洋的な思想を用いて、独自な「抽象絵画」に取り組んでいる「優雅な挑戦者」である前田の作品をぜひ近くでご覧いただきたい。

ハ・ミョングは、韓国の慶熙大学芸術デザイン学部を卒業後、渡日して京都市立芸術大学校美術研究科で修士課程を卒業し、現在は、日本の丸沼芸術の森に所属され、国際的なアーティスト活動を行うと共に、国際的なアートプロジェクトのディレクターを務めるなど多岐に渡る活動を行っている。

韓国と日本での様々な個展を開催し、釜山ビエンナーレ(韓国釜山 2017)、岐阜県現代陶芸美術館(岐阜県 2021)、水原市立美術展示館(韓国水原 2021)、ソウル市教育大学校美術館(韓国ソウル 2021)、駐日韓国大使館韓国文化院 特別協力展示(日本東京 2018)、滋賀県立陶芸の森 陶芸美術館(日本滋賀県 2022)、駐日韓国大使館韓国文化院企画展(日本東京 2023) などでの団体展に参加した。

作品は、丸沼芸術の森(日本)、CNCITY 心エナージ財団(韓国)、朝霞市(日本)、フタバスポーツ(日本)、河 正雄コレクション(日本)など国内外主要機関、コレクションに所蔵されている。

 

前田 正憲は、1991年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。 国内外において、多数の個展、グループ展に参加。東京芸術大学 安宅賞(1990年)、シカゴインターナショナルアート展準大賞した(1991年)。前田の作品は、国内外主要機関及びコレクションに所蔵されている。

 

前田 正憲 CV ダウンロード

■展示概要

□会期|2024 年 11 月 16 日(土)~ 12 月 7 日(土)

□時間|水曜―土曜 12 時―18 時 (日、月、祝日:休廊)  ※火曜:前日 18 時までにメールでの事前予約制

□住所|〒108-0073 東京都港区三田2-13-9 三田東門ビル8F

□入場|無料

□お問い合わせ|infoalphacontemporary@gmail.com

■Alpha Contemporary(アルファ コンテンポラリー)

Alpha Contemporaryは、同時代性に関しての独自な視点を持って、国内外のアーティストを日本と世界に向けて紹介する。また、作品のみならず、作品の製作プロセスやコンセプト、アーティストからのメッセージをグロバールアートシーンへ共有する。

Works

Masanori Maeda

Masanori Maeda, Oval and Lines Method, 2024

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Myoung-goo HA, Pocket Square Series 2022, 2022

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